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08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(14)」 (2008.05.07)
 押し寄せるサクラの波 

押し寄せるサクラの波本州ではサクラはとうに終わったことと思います。いまは葉も次第に大きくなって、早くも小さな実をつけ始めている頃かも知れません。

札幌はいまがサクラの盛りです。例年ですと大型連休の後半、ちょうど今頃が開花宣言なのですが、今年は10日ほど早くサクラは咲き始め、すでに先発のサクラは散ってしまいました。

ところが北海道にはサクラの種類がいろいろあって、花期も微妙にずれており、いまが盛りのサクラもあります。
< 北海道のサクラ >
北海道のサクラといえばエゾヤマザクラです。本州のソメイヨシノのように、葉より先に花が咲くのでなく、葉と一緒に咲きます。(写真:円山公園)

このため、ちょっと焦点がぼけて損をしていますが、花をじっと見ると赤みがかってとてもきれいな花です。札幌ではエゾヤマザクラが圧倒的に多いのですが、気象台が開花宣言するサクラの標準木は、少数派のソメイヨシノです。

エゾヤマザクラはソメイヨシノより5日ほど早く開花するため、気象台が開花宣言したときは、エゾヤマザクラはすでに満開です。

ちなみにサクラの開花から満開までは東京が8日、仙台が6日、札幌は3日で北に行くほど短く、あっという間に満開になります。市民感覚とずれている気象台の開花宣言は毎年のように、新聞ネタになっています。
< 日本のサクラ >
つづいて本州ではおなじみのソメイヨシノが開花します。白っぽい花は可憐で清楚です。

札幌都心部では大通公園に3本、北海道神宮に10数本、中島公園には北海道立文学館周辺を中心に相当あります。ソメイヨシノは江戸末期に江戸駒込の染井村で作られたものだそうです。

それまでは「吉野」といえば「サクラ」であり、「野田」といえば「フジ」でした。従って染井村で作られたサクラは、吉野のサクラと区別するため「ソメイヨシノ」となり、今や日本ではサクラといえばソメイヨシノをさすほどです。

しかし江戸時代以前のサクラは吉野であり、吉野のサクラはヤマザクラです。「花の色は移りにけりないたずらに・・・」「・・・しづ心なく花の散るらむ」など、平安時代のおなじみの歌はみな赤っぽいヤマザクラを歌っているんでしょうね。札幌ではソメイヨシノの満開が、今年は珍しく連休中に見られました。(写真:中島公園2日)
< 千島のサクラ >
本州のさくらの標準木は「ソメイヨシノ」、ソメイヨシノが育たない札幌以北の北海道各地の標準木は「エゾヤマザクラ」です。

そのエゾヤマザクラも育たない釧路根室地方の標準木は「チシマザクラ」です。札幌に寒地土木研究所という国の研究機関があります。

構内にはチシマザクラが川沿いに100mに渡って200本ほど植えられています。(写真左・1日)釧路の隣の浜中町から取り寄せて植えました。

研究所の構内は普段は関係者以外は入れませんが、チシマザクラの開花時期はオープンにする粋な計らいをしています。私は寒いところに咲くチシマザクラは遅くなってから咲くものと思っていました。

去年ソメイヨシノが終わったあと寒地土木研究所に行きましたが、花はもう終わっていました。これはどういうことか。チシマザクラは寒さに強いけど、それが花期が遅いことにつながらないということに気づきました。しかも札幌などの冷温帯でも見事に咲いて、開花もソメイヨシノより早いことがわかりました。

ちょっとした錯覚に陥りやすいですね。今年は寒地研で見事なチシマザクラを見ることが出来ました。チシマザクラはソメイヨシノやヤマザクラと違って、幹から上のほうに枝が出て、その枝先に花が咲くという木ではありません。根っこの部分から枝分かれして伸びるため首を上げる必要がなく、目線でじっくり花を観察できます。咲き始めはピンクですが、満開になると白くなる面白いサクラです。

クナシリザクラとかエトロフザクラともいわれているようですが、チシマザクラは千島地方の植物研究第一人者の北大植物園の初代園長、宮部金吾博士が命名したそうです。
< 後半のサクラ >
サクラの開花期にあわせて前半・後半というのもおかしいですが、ことしは偶然連休の後半にあわせるかのように、花期の遅いサクラが咲き始めました。第一弾はカスミザクラです。(写真:大通公園・3日)

花が白く、山に咲いているのを遠くから眺めると霞のように見えることからこの名がつきました。白くても葉も同時に出るためでしょうか、ソメイヨシノのように凛として咲いているという感じがありません。

逆に若葉とともに柔らかさ、温かさを感じ、ソメイヨシノより好きだという人が結構います。形態的には長さ1~15mmほどの総柄があり、その先から細い花柄が分れ出ているのが特徴です。咲いたと思ったらすぐ散ってしまうサクラです。

ところで「サクラになる」とか「あいつはサクラだ」とかいいますね。店側のものが客を装っているときに使います。景気よくパッと騒いで客を呼び込み、いつの間にか消えてしまうことから、パッと咲いていつの間に散ってしまうサクラをオーバーラップさせたのでしょうか。
< 存在感あるサクラ >
後半のサクラの主役はこのサクラ、サトザクラです。八重になってることからヤエザクラともいわれ、濃いピンクの花がぽっちゃりとした咲きます。迫力がある存在感あるサクラです。

大通り公園や道庁前庭には、通り抜けのような形でサトザクラが密集しており、本州からみえた観光客は盛んにシャッターを押しています。(写真:道庁前庭・4日)

ヤマザクラに対してサトザクラです。ヤマザクラは日本古来の自生種ですが、サトザクラは園芸種です。札幌都心にみられるサトザクラは、ほとんどが関山(かんざん)という品種ですが、サトザクラの品種改良は300種以上に達します。

うす緑の鬱金(ウコン)だとか、白い普賢象(フゲンゾウ)など、人間が好きなように細工をしているサトザクラが数えきれないくらいあるそうです。サトザクラの花期は長く、こちらはサクラ(偽客)にはなりえません。今現在8~9分咲きで花びらはまだ散っていません。しばらく楽しめそうです。
< 森のサクラ >
4日はみどりの日でした。みどりの日は植物園が無料開放されています。きのう植物園を訪れると、都心では余り見られないサクラが咲いていました。(写真)エゾノウワミズザクラです。花は長さ5~10㎝の穂状の花序に、多数の白い花をつけています。

まるで試験管を洗うブラシのようです。これでもサクラです。サクラはバラ科ですが、サクラには共通点があります。それは葉柄部分を中心に蜜腺(みつせん)と呼ばれる、小さなイボみたいなものがあることです。

そこから蜜を出して「アリさんおいでおいで」といっています。毎年この時期必ず植物園を訪れるのですが、いままでエゾノウワミズザクラに気がつきませんでした。それというのも5月下旬から6月に咲く遅いサクラだからです。

それが見事に白い花を高木一杯につけ、そばを通る人は見逃しようがありません。「この花な~に」という声が飛んできます。例年ですとまだ花芽も固く、振り向きもしない樹です。ことしが、いかに植物の生長が早いかを証明しているような花との出会いでした。
< 百花繚乱の札幌 >
いろいろなサクラが咲き終わってちょっと間があいた6月、町のあちこちから「札幌の木」ライラックが咲き始めます。ところが今年は一段落することもなく、重なるように早くもライラックが咲き始めました。(写真:大通公園4日)

春の遅い北国の札幌は、春とともに花が一斉に咲きます。今年は例年以上に間隔をあけることなく、次から次へと花が咲いており、まさに百花繚乱の札幌です。

それが大型連休とぴったり遭遇したのはくこれまでにないでしょう。花暦は10日から2週間先に進んでいます。

(寄稿=望田武司)

望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



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