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08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(15)」 (2008.05.13)
 野花の宝庫ポロト湖 

野花の宝庫ポロト湖太平洋に面する室蘭と苫小牧の間に白老町があり、そこにポロト湖という小さな湖があります。周囲6キロほどの小さな海跡湖ですが、アイヌ語ではポロ(大きな)ト(沼)、つまり大きな沼です。

大きい小さいは主観の問題で、近くの支笏湖や洞爺湖と比べると小さいけど、そこに住んでいたアイヌの人にとっては大きく感じた湖沼だったのでしょう。

狩猟民族であるアイヌの人にとって、豊かな森と湖は食料としては十分すぎるほど大きかったと受け止めたの かもしれません。

湖畔にはアイヌコタンがある観光地として知られ、冬は結氷してワカサギ釣りで賑わいます。また近く には競馬ファンおなじみの社台ファームがあります。連休明けの週末、野花を求めてポロト湖に出かけてきました。
< 湖畔めぐり >
ポロト湖には手付かずの自然が残されており、周囲は自然休養林になっています。鳥のさえずりを聞きなが ら歩くとまさに森林浴、空気がおいしく感じられます。

柔らかい日射しが木漏れ日となって、林床にまで届いています。この春の光を受けて、遊歩道の両側には小さな花が短いわが世の春を謳歌しています。
まず歓迎してくれたのはヒメイチゲです。花の直径は2センチもありません。(写真下左)
アズマイチゲやキクザキイチゲとともにアネモネの一種ですが、一番小さいためヒメという名が頭についています。動物もそうですが、小さいのは何でもかわいいですね。
やや大きめの白い花に出会いました。シラオイエンレイソウです。(写真上右)

葉も花弁もガクもすべて3つ、数字の3と縁の深いエンレイソウにはいろいろな種類がありますが、シラオイエンレイソウは当地で発見された変種です。子房の先端に赤い口紅をつけ、白い花弁が恥ずかしそうに波打っているのが特徴です。

飾り気のないエンレイソウは、他の草がまだ生え揃わないときに悠然と咲いて、大きめの花が風で揺れています。厳しく雄大な自然の北海道にふさわしい花で、このうちのオオバナノエンレイソウは、北海道大学の校章としてデザイン化されています。

北海道の花はハマナスですが、草本に限定するとエンレイソウが圧倒的な支持を得ると私は思います。エンレイソウはアイヌ語でエマウリ、アイヌの子どもたちはエマウリの実をイチゴのように摘んでは食べたそうです。自然のおやつだったかもしれません。
< 野花のパレー ド >
遊歩道の左右には小さな野花が次々に現れます。ネコノメソウです。よく見るとネコノメソウでも、少しづつ形が違っているのに出会います。

葉の付き方が互生か対生か、毛の有無などによって仕分けられます。ここでは詳細は省略して この日は4種類のネコノメソウが観察できました。観察するほうが猫の目になりそうな花です。

写真は4種類のうちの一つヤマネコノメソウです。ポロト湖畔はスミレの宝庫でもあります。スミレだけで一冊の本が出るほど、路傍のあちこちに あるスミレは昔から日本人に親しまれ、種類も多い植物です。
この日は、紫色のタチツボスミレ(写真上左)白色のツボスミレ(上右)ピンクのヒナスミレ(下左)そして黄色のオオバキスミレ(下右)などが観察できました。

路傍の小さな花の 観察は疲れます。何度も何度もしゃがまなければなりません。お腹がつっかえます。ルーペで観察しようとすると、もう一段体を折らなければならず、ついに膝が地面についてしまいます。けどそれぞれの種類の特徴を確認できると、充足感に満たされます。
< 湿地の女王 >
湿地帯に入るとミズバショウの見事な大群落に出会いました。湿地全域をミズバショウが覆いつくしているという感じです。

ことしは異常に暖かくて、札幌郊外では既にミズバショウは終わっています。札幌より南のポロト湖畔で、ミズバショウが見ごろというのが面白いです。

太平洋に面するポロト湖畔は風が強い上、夏で も海霧などが発生して涼しく、気温はそれほど上がらない地域です。

それだけにミズバショウだけでなく、札幌では4月に散ってしまったエゾヤマザクラがここではまだ咲いていました。

この日は日が射していたのに突然暗雲たちこめ、雷が鳴りだしました。雨具で身を包む間もなく、雨が降ってきたと思うと雹に変わりました。

10分もしないうちに雨は上がり、また青空が見えてきました。陽が再び照っても気温はデジタルに下がったままです。ひんやりします。

帰り際に森の郵便配達人エゾリスに出会いました。配達し忘れた去年のクルミを掘り起こして食べているのかもしれません。

広い北海道を実感する「小さな野花を訪ねる旅」でした。

(寄稿=望田武司)

望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



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