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08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(16)」 (2008.05.19)
 ハンカチノキ 

植物には世にも珍しいものがいろいろあります。

「話しに聞いていたハンカチノキに花が咲いていました。初めて見る花に感激しました」

15日自然愛好家から、花を見た瞬間の鼓動が伝わるメールをもらい、早速翌16日、私も見に行きました。

場所は北大植物園です。「ハンカチノキ」という名前自体が面白いです。高さ10mほどの木の高いところで、白いハンカチのような花が風に揺れていました。

葉が光を受けて白く輝いているようにもみえ、「あれが花です」といわれない限り見過ごしそうです。ハンカチノキは1科1属1種の落葉高木です。フランスの宣教師が1869年、中国の奥地四川省で発見しました。ちょうど大地震が起きたあたりでしょうか。

事実は小説より奇なりです。じつはこの宣教師、ほぼ同じところでジャイアントパンダを見つけた人でもあるそうです。世にも珍しい動物と植物を、世界で初めて見ることができた宣教師の感激はいかばかりだったでしょう。両手に花なんていうものではありません。

降り注ぐ星を一身に受け止めた幸せな男といえそうです。
ハンカチノキは日本でも徐々に普及しているようですが、まだそれほど多くはないようです。

東大の小石川植物園にはあるということです。札幌では北大植物園のほか、豊平公園にまだ花が咲いたことのない木が1本、それに温室ですが百合が原公園に1本のあわせて3本あります。(写真左:百合が原公園の温室 08.4.23)

北大植物園のハンカチノキは、一昨年初めて花が咲きました。たまたま女性准教授のもとで、レブンアツモリソウなどの絶滅危惧種の勉強をしていたとき、「珍しいものをお見せしましょう」と案内されました。
花はわずか2個でしたが、確かに咲いていました。(写真右06.6.4) 「これが花か」と思いました。植物園でも大変驚いたそうです。植樹してから10年以上経って初めて咲いたそうです。

日ごろクールな語り口の准教授も、口元を緩めて説明していたのが印象的でした。研究者としてもよほどうれしかったのでしょう。正直なところ私にはハンカチとは思えませんでした。トイレットぺーパーが木の枝に引っかかっているように思えました。

厳密に言えば、ぶら下がっている白い部分は花ではありません。苞(ほう)です。ちょうどミズバショウの白い部分に相当します。真ん中よりちょっと上に黒く固まっている部分が花です。ちょうどミズバショウの黄色の棒状の部分に相当します。

植物園のハンカチノキは一昨年初めて花が咲きましたが、何故か去年は咲きませんでした。どうして咲かないのか、植物園に尋ねても「研究中でわかりません」というだけでした。

野山をいつも駆け巡っている自然観察仲間から「独り占めは許さない。今度咲いたら教えてね」と脅かされて?いました。
いつの間にか私がウオッチ担当となりました。10日ほど前、植物園に行ったばかりです。時期はまだ早かったのですが、花芽が付いてないかつぶさに観察してきました.。

ありませんでした。(写真左:ハンカチノキ)
「ああ、ことしも咲かない」と思っていました。それだけに「ハンカチノキの花を見た」というメールをもらったときは驚きました。

改めてハンカチノキを見に行き、思いました。花は目線部分の木の枝には咲かない。高い部分の枝先から咲くということを知りました。

ただ四川省ではリュウキュウツツジのように、木一杯に白い花をつけている写真を見たことがあります。初めて咲いた一昨年は2個、今年は10数個咲きましたので、いずれは植物園のハンカチノキも満開という時がくるかもしれません。

そのときは三途の川向こうから観察することになりそうです。
早耳の地元の新聞社が取材に来ていました。そのうち掲載されれば、どっと人が訪れるでしょう。

植物園はすでに初夏の装いです。例年より半月早く緑が多くなっています。そういえば一昨年初めて咲いたハンカチノキの花を見たのは6月4日でした。 

(写真:いまだに咲く日本最古のライラック。明治中期アメリカより移入 札幌のライラックの母樹 08.5.16)

(寄稿=望田武司)

望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



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