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Home > 政治 > 08洞爺湖サミット・カギ握る日本 > 北の国からのエッセイ

08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(24)」 (2008.07.04)
 道北の孤島 天売・焼尻島(下) 

天売島はダイナミックな海鳥の動きに目を奪われがちであるが、植物も豊富で、この時期、島は花の園である。植物観察が目的の私たちは、島の端から端まで歩いて、野花をつぶさに観察した。

< 大地をまとう晴れ姿 >

風が強く冷涼な北の孤島にも6月から7月になると、卵色の花が一斉に咲き、島を覆う。エゾカンゾウだ。

本州ではニッコウキスゲと呼ばれており、佐渡では単にカンゾウと言っているようだ。この花が咲くと、殺風景な大地が一気に優しさと温かさに包まれる。

稚内に近い日本海側に、サロベツ原野という大湿原がある。エゾカンゾウが原野一面に咲くと、大地は一年で一番の晴れ姿となり、この地に入植した開拓者は、春が来た喜びを感じて開拓に勤しんだという。

その感じがよくわかるエゾカンゾウの群落だ。朝に花が開くと夕には命を終える「一日花」だといわれているが、2日ほど持つものもあるらしい。

花のつぼみが一つの茎にいくつもついており、一つの花が一日で終えても、次々に花が咲いてくるので、何日も咲いて見えるのが面白い。

エゾカンゾウと同じ仲間のエゾスカシユリも観察された。(写真左)

こちらは花の内側を外側から透かしてみることができるので、ちょっとエレガントな感じがする。

< 島のエネルギーが噴出した! >

島一帯を覆うササから、頭ひとつ抜け出して笠型の白い花をつけている植物によく出会う。エゾニュウといわれるセリ科の植物である。(写真右)

茎は太くて直立し、葉柄の基部が袋状に膨らんで、一見異様な感じがする。その風貌からして、地面からエネルギーが噴き出したような花である。

エゾニュウの「ニュウ」はアイヌ語で食用・薬用になるものにつけられた。エゾニュウは蝦夷地に分布し、太い茎が食用「ニュウ」になる。

傘型の白い花はいくつもある。アマニュウ・エゾノヨロイグサ・オオカサモチ・オオハナウド・エゾノシシウド・・・みな同じように見えて区別がつきにくい。いつも「ああ セリ科の仲間だ」と括ってみているが、エゾニュウがこの種の中ではもっとも大きい。

< 島を巡る観光客 >

島を歩いては立ち止まって観察してると、「そこはビューポイントですか」と背後から声をかけられた。

振り向くと助手席に女性を乗せた若いカップルの観光客だ。レンタカーに乗っている。小さな島を車で回ると、わずか10分ちょっとで端から端まで行ってしまう。

「あんちゃん。ここはレンタカーで回る所ではないの。歩くときれいな花が見れるんだよ。歩きな、歩きな」と言ってやった。

すると「ああどうも、時間がなくて・・・」ニヤケながらエンジンをふかして去っていった。この東京から来た観光客、江ノ島あたりをドライブしている気分で運転しているのだろう。島は島でもここは江ノ島でなく天売島だ。ぶらぶら散策し、見通しのよいところにくると、前方に焼尻島が浮かんでいた。(写真)

しばらくすると今度は自転車のカップルが来た。歩くのは時間がかかるので自転車で… という気持ちはわかるけど、自転車はちょっとつらい。

島はアップダウンしているので、下りはよいけど上りはつらい。「大変ですね」声をかけると、「いえ、スリムになるのでがんばってます」健気な女性の返事が返ってきた。

バイクのカップルにも遭遇した。服装に似合わないヘルメットをかぶっており、一見してレンタルだとわかる。

けどバイクなら気楽に停めることができ、小回りが利いて島巡りには一番よさそうだ。レンタル料金をそれぞれのカップルに聞いたら、自転車が500円、バイクが1時間1500円だった。

車はさっと行ってしまったので聞けなかった。しかし、こうした島に来ると歩くのが一番よい。不思議なことに、野花は孤島や湿原・高地など、条件が厳しいところほど可憐できれいな花が咲いている。(写真上:チシマフウロ)

北海道の日本海北部に浮かぶ天売島・焼尻島は、こうした花を堪能できる絶好の場であると思った。島の夏は短い。

8月も下旬になると、再び風の強い荒涼とした島になるという。島の代表的な花エゾニュウに、これまた代表的な鳥ウミネコが止まっていた。パチリ。(完)

(寄稿=望田武司)

望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



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