Channel J
報道スタイルのブロードバンド・テレビ・ステーション

  • お問い合せ
  • サイトマップ
検索English
  • Home
  • News
  • 政治
  • 企業
  • 教育
  • 旅行
  • 文化
  • アーカイブ

Home > 政治 > 08洞爺湖サミット・カギ握る日本 > 北の国からのエッセイ

08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(28)」 (2008.07.25)
 夏の森 

日本列島梅雨明けで、真夏到来です。北海道は梅雨がありませんが、次第に気温も上がって湿度が低い北海道らしい夏の到来です。気温は植物にとって大切な栄養です。森はどういう表情をみせているのかな。3連休の一日、足を運びました。

< 日本一広い平地公園 >

札幌近郊の野幌森林公園は、私にとってホームグラウンドです。面積は東京都港区にほぼ匹敵する日本一の平地公園です。

年間30回は通っているでしょうか。そんなに通っても、公園の縁をちょっとかすっているだけで、全貌を知るには余りにも広すぎます。

その上、夏はどちらかというと敬遠です。虫が多くて刺される上、ササなどが生い繁って視界も狭まり、散策には必ずしも良い条件とはいえません。

それでもコンクリートと、車の洪水の都心より圧倒的に心地よき散策です。肌が出ている部分に防虫スプレーをかけ、スズメバチが興奮する黒めの服装を避けて森に入りました。

< アイヌの主食 >

森の訪問者を最初に迎えてくれたのは、横に向いたラッパ型の花です。オオウバユリです。

暗い落葉樹の下で花茎を伸ばし、先端に明るい薄黄緑色の花をつけており、首一つ出ているだけにあちこちで目立ちます。花が咲く夏に、葉(歯)が落ちることから、この名がついたということです。

もっとも牧野富太郎は、花のにおいが老婆のにおいに似ているから、この名がついたという説を出しています。幸いまだ老婆のにおいを嗅いだことがありませんので、よくわかりません。

花が咲くのに6~8年かかり、繁殖も一生のうち一回きりです。地下の球根(百合根)は大きく、でんぷんを多く含んでいることから、アイヌ民族の重要な食用、主食になっていました。

< ランの花 >

林床に生える草の中に、凛として背筋を伸ばしている一本の草を見つけました。一見してランの仲間だとすぐわかります。「エゾスズラン」です。(写真下左)

同行した森のインストラクターが教えてくれました。前にも観察したことがありますが、たまに見るものは、なかなか覚えることができません。ちょっと歩きますと、オニノヤガラです。(写真下右)

葉緑素を持たない腐生ランでナラタケ菌と共生しています。「鬼の矢柄」と書き、太くまっすぐな茎を、鬼が使う矢に見立てたものだそうです。名前だけ聞いても、左の耳から右の耳にそのまま通り過ぎてしまいます。名前の由来などを知ると、伸びきりつつある脳の皺にも少し引っかかり、記憶の片隅に残ります。



おちょぼ口のように白い花先を突き出し、赤い口紅をした花にであいました。とても線の細い、かよわい花です。 けど名前はハエドクソウです。

昔、ご飯にこの葉を混ぜてハエに与えると、ハエは死にました。ハエ取り紙が、ちゃぶ台の上にぶら下がっていた時代がありました。懐かしい時代です。

そのハエ取り紙はハエドクソウの根を煎じて作られました。近年ハエがめっきり少なくなり、ハエドクソウは忘れな草となりました。

< サビタの響き >

ササなどが生い繁って狭くなった道の両側に、白い花をつけた潅木に出会います。サビタです。正式な和名はノリウツギですが、北海道ではサビタと呼んでいます。

もの悲しくも、なんとなくロマンチックに聞こえる植物名です。一世を風靡した釧路出身の原田康子の名作「サビタの記憶」のせいでしょうか。ノリウツギは、その内皮から製紙用の糊をとっていました。

そのノリウツギは山間の沢を埋めるように生えており、山間の沢が訛ってサビタになったということです。

サビタは、エゾアジサイやツルアジサイと同じユキノシタ科で、装飾花が目立ちます。これらの装飾花は、虫を呼び込む役割を終えたあとも枝について、冬はドライフラワーとなり、一年を通して楽しませてくれます。

< 緑の芽・黄の花・赤い実 >

かわいい赤い実が飛び込んできました。エゾニワトコです。

エゾニワトコは芽吹きが早く、黄白色の花と赤い実がきれいな木で、一般家庭の庭でもよく植えられています。

いつもは8月になると実が赤くなるのに、7月半ばですでに真っ赤で、こんなに早く観察したのは初めてです。

今年は春から気温が高くて、植物の生長は早かったですが、その分、実も早く実ったということでしょうか。

春と比べて夏の花は少ないですが、それでも丹念に観察しますと、足が止まる植物に出会います。そしてなによりも植物のオーラが体一杯に注がれます。

最近、植物から発散される微量の化学物質、フィトンチッドが注目されています。マスコミにもしばしば登場しています。森林浴がすがすがしく感じるのはフィトンチッドの効果だといわれています。

フィトンチッドは空気より重いため、早朝の散策にはもってこいです。歩けば歩くほど空気をかき混ぜて、自らがフィトンチッドを吸収できます。

自宅に帰ると心地よい疲労に加え、加齢現象でしょうか、お風呂に入って横になると、いつの間にか桃源郷です。そのまま天国に行けばと思っても、真夜中に目が覚めて現実に引き戻されます。

(寄稿=望田武司)

望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



<<08洞爺湖サミット・カギ握る日本


  • ご利用にあたって
  • プライバシーポリシー
  • 著作権・免責事項
  • 会社情報
  • Copyright(c) Channel J Co Ltd, All rights reserved.