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北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(29)」 (2008.07.28)
花人街道
本州では連日暑い日が続いているようです。と思ったら、今度は東北地方でどか~んという大地震、札幌でも揺れました。日本列島は天変地異の総合デパートといいますか、敏感な島ですね。
同じ日本列島でもこんなところがあります。暑中見舞いと災害見舞いをかねて、この時期さわやかな北の便りをお届けしましょう。 |
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見渡す限りの紫のじゅうたんです。ご存知ラベンダーです。シソ科特有の香りが漂います。気温21度、この花の上を吹く風を、真夏日の地方にお送りしたい気持ちになります。
香料の原料としてささやかに作っていたラベンダー畑が、あるとき国鉄のカレンダーに掲載されました。
以来 ラベンダーはこの地の観光の目玉になりました。ラベンダーだけでは物足りない。
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ポピー(オレンジ)カスミソウ(白)大麦(黄色)など、さまざまな色彩の植物が植えられています。(写真左)
緩やかにカーブを描く丘が五色の色で塗られていました。23日、撮影会に参加してきました。写真の勉強などしたこともなく、ただデジカメでひたすら撮っているだけです。
北海道のへそ、富良野から美瑛にかけてはこのような観光花園が点在しています。切花や種子採取のための農家の花園も、一般に開放されています。
これらの花園を結ぶコースに、花人(はなびと)街道という名前がつけられました。なかなか感じのよいネーミングです。
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この付近の丘の土壌は火山灰です。有史以来何度も噴火している十勝岳の火山灰が、これでもかこれでもかと降り注いでできた丘です。
火山灰は雨が降るとぬかるみ、滑りやすくなります。残念ながらこの日は、時折、小雨の降る日でした。けど花畑の中に入っていきたいという気持ちになります。
同じような気持ちの人が現れました。ウエッデングドレス姿の花嫁さんです。この近くで挙式をあげたのでしょうか。花園の前でポーズをとっています。
おつきの人がドレスの下を持ち上げています。へそ曲がりはふと思いました。きれいな花の前で写真をとったら、きれいな花嫁はかすんでしまうのではないかしら。胸に大きな花をさした新郎がニヤニヤしながら花嫁に従っていました。
こういうときの新郎は刺身のつまにもなりません。花人街道を車で走らせると、次々に観光ポイントにつきます。当地は北海道でも有数の畑作地帯です。うねるような畑の色彩が鮮やかです。
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< パッチワークの美瑛 >
緑はビート、薄緑は大麦、土壌がむき出しの茶色は刈り取りが終わったばかりの秋まき小麦です。大地のパッチワークです。
観光ボランティアをしていると、北海道に行きたいけど、どこに行ったらいいかとよく聞かれます。私は即座に「美瑛がいいですよ」とこたえます。私はこの美瑛が丘のパッチワークこそ、もっとも北海道らしいところだと思っています。
岬の景観や自然はそれなりの味わいはありますが、どこにでもあります。けど大地のパッチワークは北海道以外にはありません。
フランスやポーランドなどのヨーロッパの農村地帯のようです。かって新車を売り出す日本の自動車メーカーが、ヨーロッパの丘を快適に走り回るコマーシャルを流し続けました。ロケは美瑛が丘で行われました。このようなすばらしい景観は最初からあったわけではありません。
明治時代からの入植者が原生林を切り開きました。機械化とは無縁の時代、切り株一つを大地から除去するのにどれほどの手間と汗をかいたことでしょう。それがいまでは北海道でも有数の畑作地帯です。先人の労苦が偲ばれます。
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< シーニック・バイウエイ >
シーニックバイウエイという言葉をよく聞きます。景色(scene)とわき道(byway)を組み合わせた造語です。道を中心に、沿道の景観や歴史・文化などを活用して、魅力ある観光空間作りが行われているところです。
ルートに指定されますと不動産の看板など、景観を損ねるものを取り外して、快適なドライブを楽しんでもらおうというものです。
全国的にも徐々に浸透しているシーニックバイウエーは、広い北海道にはぴったりで、美瑛を中心とした大雪・富良野ルートをはじめ、数か所が指定されています。
訪ねた日も中国人のツアーが、数台の観光バスを連ねてこのコースを走っていました。立ち止まった観光花園では、観光客が渋滞しないよう、よき撮影ポイントを独占しないよう、「三脚を立てないでください」という看板があちこちに見られました。
この数年、野花を求めて道内各地を訪れました。花卉栽培の当地を訪問したのは4年ぶりです。目の前に次々に現れる花は園芸植物ばかりでほとんどわからず、それだけに新鮮でした。
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上の写真の緑の楕円形のコケティッシュな植物は何というのですか?尋ねると「ホウキソウ」という言葉がかえってきました。
秋には紅葉して見事な景観になるそうです。広い大地にいろいろな花が幾何学的に広がっています。天気がよければ十勝岳連峰の山々が一望できます。
その麓に広がるパッチワークとお花畑、すばらしい涼風を猛暑の地域に送り届けることができたでしょうか。日本列島は細くて長いです。
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(寄稿=望田武司)
望田武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。
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