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北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(4)」 (2008.03.04)
トマトはフルーツ?
| トマトといえば、みずみずしい色鮮やかな野菜として、毎日食卓に彩りを添えるポピュラーな食物である。統計によると、今日ではキュウリを抜いて一番出荷量の多い野菜だそうだ。千歳の郊外に東洋一のトマト栽培農場があるというので見学にいった。 |
農場の名前は「田園倶楽部北海道」。 千歳郊外のあちこちにあるゴルフ場の一つかと錯覚する。札幌から車で小一時間、一面の雪原の中に巨大ハウスが突如現れた。 東京ドームの1.5倍の広さだという。氷点下の外気をよそに、ハウスの中は10度から15度に保たれており、水、肥料、土壌などはすべてコンピュータ管理だという。 企業秘密で残念ながら栽培されているトマトの写真は撮影できなかったが、ここではトマト生産機械工場といった感じだ。 収穫は夏は毎日、冬は週2回ほどだそうだが、収穫されたトマトをみて驚いた。 ほとんどがゴルフかピンポンボールくらいのトマトで、一見生育不良か、きず物ばかりのようにみえる。 |
ブルドーザーで一気に運んでトマトジュースにするようなものを、なんで人手をかけているんだろう。 担当者の説明を聞いてるうちに次第に妙な気持ちになってきた。そしてしばらくして、トマトに対するこれまでのイメージを払拭しなくてはいけないことを知った。 |
ここでは収穫されたトマトはすべて糖度計を通って、一瞬のうちに自動的に糖度別に振り分けられる。これほど大型の糖度計は国内ではないという。 トマトと糖度、今まで考えたことがなかったことが、ここでは生産ラインの最も重要なポイントとなっている。 もっぱら食べる人で、買う人ではなかった私はトマトというのは大きくて色赤く、みずみずしいものが上等なトマトだと思っていた。 ところが、この農場では主にゴルフボールのフルーツトマトを生産していることがわかった。フルーツトマトというとトマトの品種かと思われがちだが、そういう品種はなく、糖度が高いのをフルーツトマトというのだそうだ。八百屋の店先で売られている通常のトマトは糖度が4~5度くらいで、8度以上のトマトをフルーツトマトと言っているという。 野菜のトマトが何でフルーツ? 試食コーナーで8度、9度、10度、最高12度までのトマトを食べてみると納得、実に甘い。恥ずかしながら私はこれまでフルーツトマトというものは知らなかった。家内と一緒にスーパーに行っても鮮魚コーナーには足が止まっても、野菜のコーナーで立ち止まることはなく、いつも家内と足並みが乱れて言い合いになる。 その家内にフルーツトマトを知ってるかと聞いてみた。買い物好きの家内は「知ってる。けど買ったことがない」という。なぜ買わないのかと野暮な質問をすると、とても高いからだという。 |
1個200円以上するそうだ。 |
| < オオカミのモモ >
トマトはもともと中南米が原産で、それをスペイン人がヨーロッパに持ち込んだ。日本には江戸初期に持ち込まれ、アカナスといわれていたという。色鮮やかで当初は毒だと思われていたというから面白い。トマトの花はナスの花に似ている。 |
ニシパはアイヌ語で、旦那とか親父という意味だ。旦那の健康を守るためにトマトを恋人にしたという、なんともロマンチックなネーミングだろう。
さすがアイヌで知られる町・平取から生まれたブランドだ。 トマト銀行という銀行が西日本にある。トマトの持つ温かみと健康イメージで、皆様の銀行として親しみをもって接してもらおうと、銀行名を変えたのだろう。お堅い世界のなかではとても大胆な発想だと、思ったものだ。 |
それにしてもトマトは面白い。 アメリカではトマトをヨーロッパから輸入するとき、輸入業者はトマトを関税がかからない野菜と主張し、税金をかけたい当局は果物と主張して最高裁まで争ったそうだ。 7月に北海道洞爺湖サミットが開かれる。北海道はこれを機会に観光の北海道、食の北海道を売り出そうと、日本在住の外国人ジャーナリストを招くなどして、これPRに努めている。海の幸ばかりでなく農産物も含まれている。たかがトマトというなかれ。トマトは世界共通の健康食品だ。 |
(寄稿=望田 武司)
望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。
























