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08洞爺湖サミット・カギ握る日本

北海道洞爺湖サミットに寄せて「北の国からのエッセイ(7)」 (2008.03.26)
春 一気に到来

どういう気圧配置になってるのでしょうか。

このところ北海道では南風が卓越し、連日10度を越す陽気です。 特にきょう25日の札幌の最高気温は15度1分、3月で15度を超えたのは明治24年以来実に117年ぶりという大異変です。 雪も一気に融け、25日札幌管区気象台は札幌市内の積雪ゼロを宣言しました。 このまま雪が降らないと例年より10日ほど早い雪とのお別れです。

同時に都心のあちこちでクロッカスが顔を出し始めました。 「青春の喜び」「歓喜」「切望」 人々がこの花を待ち焦がれるていたことがよくわかる花言葉です。

ただクロッカスは球根を植えて育てた園芸植物です。 本物の自然の春の花を見つけようと、札幌郊外の野幌森林公園に足を運びました。

このところ一週間に一度は訪れている自然が一杯の森です。
< ミズバショウの赤ちゃん >
札幌の隣町とはいえ、野幌の森にはまだ40cmの雪がありました。 青空で陽が射し気温が高くはなっていますが、雪の上を撫でてくる風は心地よい限りです。

雪の合間に見え始めた小川の幅も次第に広くなりました。 目をこらしますと、湿地に突き出たものがありました。

ミズバショウです。ミズバショウの芽が出ていました。 小指ぐらいのかわいい芽です。 水の冷たさと関係なく背筋を伸ばしていました。 これが6月には抱えることが出来ないくらいの芭蕉の葉となるのですから、植物の成長力に驚かされます。
 
森に入った仲間と一緒に、左右を見ながら何か変わったものがないか見渡し、雪の上に落ちているものを見つけては、これは何だと言って立ち止まります。

森の中に4時間ほどいましたが、こんな調子ですので、実際には4キロほどしか歩いていないかもしれません。
< 福を告げる花 >
一人のご婦人が突然大声をあげました。 「フクジュソウが咲いている」 全員同じ方向を見やります。 このご婦人は鳥でも見ていたのでしょうか、双眼鏡を構えています。

土が見え始めた南斜面を双眼鏡で見ますと、ありました。ありました。 金色のフクジュソウです。 まだ小さいです。 雪を踏み分けて南斜面の近くまで行き、対岸からアップして撮影した写真です。 今年初めて観察した第一号です。 「野にも春が来た」ということを実感させます。

フクジュソウは太陽に向かって咲き、陽が出ないとしぼみます。 きょうは快晴ですので運よくフクジュソウと対面できました。 「よく見つけたねえ」と感心する声が聞こえます。

旧暦の元旦頃に咲く黄金色の花から「福告げ草」、ゴロが悪いので「福寿草」になったというこの花からは、新たなエネルギーが放出されているようです。 このフクジュソウが環境省のレッドリストに載っていることは余り知られていません。

野山のあちこちにみられたフクジュソウは、いつの間にか、絶滅危惧の恐れのある稀少植物に指定されました。 北海道ではまだどこでも見られますが、本州首都圏ではそう簡単には観察できなくなったのかもしれません。
< トウがたつ植物 >
フクジュソウと並んで、雪が完全に溶ける前に姿を見せる花がフキノトウです。 これも今年第一号を見つけることが出来ました。

「みずみずしくて食べごろだね」 この女性は何でも食材に見えるのでしょうか。 けどこの自然公園では植物の採取は禁じられています。 集団で行動していますので誰もマナーの悪い人はいません。

苦味のあるフキノトウの香りが漂う味噌汁は、これまた春を感じさせるものです。 フキノトウは雌雄異株です。 同じように見えてもフキノトウが膨らむにつれ、色の濃さと花の密度の度合いなどで雌雄は区別できます。

受精したメスはどんどん大きくなって、白い穂の種を作るまでこの世の春を謳歌するのに対し、役目が終わったオスは早々と枯れてしまいます。 フキノトウの生活史ほど、オスが貧相に見えるものはありません。

もしかしたら「トウがたつ」というのはオスのことをいってるのかしら。 造作の神はやはり次の世代を宿すメスに、充実した生活を保障したのでしょうか。
< 豊かな色あい >
樹の根元の窪んだところから、赤い実が顔を出していました。 ツルシキミの実です。 ツルシキミは秋に実をつけそのまま雪の中に埋もれていました。

雪の中は温かく一冬じっとしていて、雪が融けてようやく日の目を見ました。 ツルシキミはミカン科の低木の常緑樹ですので、同時に出てきた葉は肉厚で光沢があります。

白い雪に赤い実、緑の光沢のある葉に茶色の出てきたばかりの土、じつに見事な色合いです。 みんなでかわるがわるパチリパチリと写真を撮り合います。
< 春眠 暁を覚えず >
この日は「森にも春が来た」ということを実感させるものを観察でき大満足です。 フクロウも、いつもの定宿のハルニレの洞を空にしています。

どこに行ったかなと思って見渡しますと、近くのイチイの大木の枝に止まっていました。 常緑の葉が邪魔して撮影しにくいですが、回り込んでよく見ますと寝そべっているような感じもします。

人間ならハンモックで横になってるようなものでしょうか。 フクロウも春を感じているようです。
< 例年にない早い春 >
森は黒い土が南斜面を中心に見え始めましたが、まだ8割以上が白銀の世界です。 例年ですと4月に入らなければ観察できないものを、数多く見ることできました。

毎日つけている札幌の平均気温(毎正時の気温を足して24で割る)も、21日以降連続4日間、植物が目覚めるとされる5度を上回りました。

去年は5度を上回ったのが4月6日でしたので、ことしは半月ほどは早いです。 本州各地ではすでにサクラが開花し、週末は満開のようです。

札幌では気象台の発表はまだありませんが、このままいきますと大型連休前の4月下旬に咲く可能性が強いようです。 北国もいよいよ春です。

この日のフクジュソウ・フキノトオウから始まって今年も何百種の野花を観察できるでしょうか。 これからはおいらの季節だよ。 ネコヤナギの芽が、青空を覆い尽くすように吹き出ていました。

(寄稿=望田 武司)

望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。



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