Home > 政治 > 08洞爺湖サミット・カギ握る日本 > 記事

洞爺湖への道 -欧州の視点から 1
市民の環境意識、日本と段違いの高さ
欧州連合(EU)の「ポスト京都議定書」プロセスに対する戦略は明確である。
先進国のC02削減の方法はキャップ(国別数値目標の設定)の強化とトレード(排出権取引)の拡大で、中期数値目標も示している。
日本経団連などは「EU27カ国の中には旧東欧諸国のように、エネルギー効率の極めて悪い国があるから、その効率を高めれば、容易に高い数値目標も達成できる」と批判しているが、これはお門違いである。
旧西欧の主要国はEU平均よりも高い数値目標を自発的に負っている。たとえば、2020年までのEU 全体のCO2削減目標は20%(1990年比)だが、ドイツは独自に40%の目標を立て、公表している。ドイツ、フランスとも、再生可能エネルギーの増加について、EU目標をかなり上回る目標を設定している。
欧州委員会や加盟国政府の、このような動きに対して、産業界の一部には不満があるが、それが表面化する兆しは全くない。それは、産業界が、一般市民の地球温暖化問題についての意識が非常に高く、欧州委員会と各国政府の行動を圧倒的に支持していることを知っているからである。
EU市民の地球温暖化問題に対する意識の高さは驚くほどである。パリやベルリンで、自転車や公共交通機関で通勤通学する市民が大幅に増えた。ホテルや店舗でも自主的に電力節約に協力している。ドイツだけでなく、フランスなどでも太陽熱温水器を設けている家庭が急増している。
それ以上に目覚ましいのは、市民が風力や太陽光によって発電された高い電力を納得して購入していることである。ドイツなど多くの国では、風力、太陽光などによる小規模電力を全量買い入れるよう、電力会社に義務付けているが、同時に、電力会社が損害を被らないよう、電力料金をその分、引き上げることを認めている。
その結果、EU各国の電力料金は日本に比べて、かなり割高になっている。しかし、消費者からの不満はほとんど聞かれない。
欧州の視点から見ると、日本の産業界は利己的に過ぎるが、国民の温暖化問題への無関心ぶりには呆れざるをえない。
(早房長治)
|
|
<<08洞爺湖サミット・カギ握る日本