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洞爺湖への道 -欧州の視点から 5
日本、孤立の可能性も
地球温暖化対策をメインテーマとするG8洞爺湖サミットを1カ月余に控えて、福田政権が迷走している。
昨年のハイリゲンダム・サミットに臨んだ安倍内閣と同様に、2050年までにCO2の排出量を半減することを目指した「クールアース推進構想」を掲げているのだが、削減数値目標を設定するか、EUが強く主張する排出権取引制度を導入するかどうかという問題になると、明確な判断を示していない。
福田首相は「2050年までに世界全体で60~80%の削減を目指す」といった数値目標を明示したい意向のようだが、産業別(セクター別)アプローチに固執する産業界や、その影響を強く受けている経済産業省から「削減目標の設定は絶対に避けるべきだ」と説得されると、そちらに傾く。年明け以来、こうような動揺を繰り返しているという。
セクター別アプローチとは、エネルギーを大量に使う産業別にCO2削減可能量を積み上げて、世界全体の削減量を決めようという方法である。この方法を用いると、日本のように省エネの進んでいる企業の技術が、技術水準の低い他国の企業に移転するという長所があるが、世界の業界全体の技術開発にブレーキがかかる恐れがある。
このためEUは「セクターアプローチは否定しないが、先進国が世界全体の削減目標を立て、それに基づいて厳しい国別削減目標をつくって、実行しなければ、地球温暖化は止まらない」(欧州委員会環境部門ナンバー2、ジョス・デルベーケ氏ら)と、日本を牽制している。
EUは排出権取引市場システムを2005年に立ち上げ、今年から12年までの間に改善を施した上で、13年からは入札(オークション)を含む本格導入を目指している。当面は加盟27カ国が対象だが、将来は世界規模への拡大を視野に入れており、米州、大洋州、アジアなどへの働き掛けを始めている。
日本が導入に極めて消極的なことに対して強い疑問を示しており、「日本の排出権取引に対する理解は、欧米などに比べて10年以上遅れている。もし、導入を拒否すれば、日本は世界から孤立するのではないか」(ドイツ環境省幹部のフランツヨセフ・シャフハウゼン氏)という声さえ挙がっている。
国別中期目標の設定に関しては、日本とEUの主張の差はさらに大きくなる。EUが「2020年までに20%削減。他の先進国が合意すれば、30%削減も」と数値目標を明示しているのに対して、日本は目標設定の意志さえ表明していない。27日に閉幕した主要国環境相会合では、インド、インドネシアなどの途上国がCO2削減について、前向きで具体的な意向を示した。
こうした動きを広げるためには、先進各国が中期削減目標を打ち出すことが不可欠である。福田首相が洞爺湖サミットで、少なくとも、国別中期削減目標を設定する意志を示すさなかったら、日本は先進国、途上国両方の批判にさらされるに違いない。
(早房長治) |
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